私立高校入試

今日は北海道の私立高校入試1日目らしい。公共交通機関に乗ると、すぐに受験の中学生だなとわかる。それはもちろん、制服を着ていて、高校生より幼く見えるからだが、それ以外にも今日が受験の中学生だとわかるポイントがある。

それは、乗り物に慣れていない雰囲気が外に出ること。普段、公立の中学生は地域の学校に徒歩で通学する。だからバスや地下鉄に乗ることが、非日常のイベントである。そのため、たとえば地下鉄やバスが発車したとき、妙に振動に弱くて、転びそうになったりして焦る。なかには「わあっ」と声を出すものもいる。

 一人でいる場合と友達と一緒の場合ではまた雰囲気が違う。複数の場合、駅で待ち合わせすることもあるのだろう。待ち合わせ場所からにぎやかな生徒もいる。いずれにしても複数での移動だと、半ば遠足状態となる。一人ひとりがそわそわしてくる。乗り物に乗ってどこかに行くというだけで興奮しているようだ。

 そして次のステージ、乗車だ。地下鉄に乗ったとき、後の人のことを考えて中の方へ進むという、いわば公共交通機関利用者にはあたりまえの常識が彼らには身についていない。そのため、4人くらいで、入口のそばで、「輪」になる。私語をしているとそれに夢中になって自分たちが邪魔になっていることに気づかない。集団の中の誰かが背後の一般乗客に気づき、ほかのメンバーによけるように言うと、これはこれで珍しい出来事なので「あっ」と驚いたような反応をする。とにかく、一つ一つがすべてイベントである。それを客観的に観ているのは、それなりに面白い。

 32年ほど前の私立高校入試の日のことを、断片的に覚えている。(つづく)